2016年05月24日

レヴォーグSTIで始まる「誰でも楽しめるコンプリートカー」路線はいかに・・・・

  「スバル買うならSTIモデル!?」・・・クルマ好きにとっては無意識の内に刷り込まれていたことですが(洗脳!?)、これが今のスバルにおいては、なんと!一般ユーザーとの間に大きな認識の違いをもたらしてしまいます。「STIモデルに乗りたいからスバルを選ぶ」これが程度の差こそあれスバル党の「本懐」だったはずですが、いまではスバルのお客として大きく幅を利かせているのは「STIじゃない方」を選ぶ人々・・・。なんで!?それはSTIモデルだとアレが付けられないから!!!

  ちょっと当たり前の話をしますが、「STI」とは大手メーカーならどこでも1つや2つは抱えている「系列チューナー」です。トヨタだと「TRD」、日産だと「NISMO」、マツダだと「MS」、ホンダだと「無限ホンダ」、三菱だと「ラリーアート」などなど。その中ではスバルの「STI」が最も存在感の際立った活動を続けてきました。その甲斐あってファンも最も多く「STI」チューンのコンプリートカーは、商談期間が始まると瞬く間に売り切れてしまなど、欲しくてお金があってもなかなか購入できない事態が続いています。

  「STI」はブランド力を高めたいというスバルのインセンティブと、ユーザーの価値あるクルマを所有したいという物欲を見事に両立させる画期的な存在です。トヨタもその辺の旨味がよくわかっているようで、「G’s」というコンプリートチューナーを熱心にプロモーションしています(カネかかってます!!!)。STIとはそもそもの成り立ちが「完全に別路線」ながらも、トヨタ車をよりコアなユーザー層(クルマ好き)へと届けるミッションを粛々と遂行しているようです。これによって発売から10年経過の現行マークXの販売が上向いたり、アクアやヴォクシーの販売テコ入れにも役立っているのだとか。

  「要は『AMG』とか『M』とかいったポジションを低予算で目指しているんでしょ!」などと、輸入車大好きな連中からは、その狙いが見透かされているようですが、それを言ったら、メルセデスもBMWもボルボ(ポールスター!)も『チューンド・バイ・〇〇』といった小手先の専用パーツによるマメ・チューンをたくさん企画していたりしますけどね・・・。確かに専用ファクトリーでの手組みエンジン搭載車にだけ与えられる『AMG』の称号は別格!の響きがありますし、高剛性ボデーのBMW車に専用エンジンとデフチューンを施して、そのポテンシャルを高めた理想のコンプリートカーと作る『M』も重みがあります。

  それに対して『STI』はどうか?・・・レヴォーグSTIのプロモーション動画で熊谷さんがメディアの質問(『AMG』や『M』の領域を目指すのか?)に少々戸惑いながらも返答していましたが・・・、あそこではぜひガツンと言ってほしかったですね。「スバルはベース車がすでにAWDだ!!!最初から世界ナンバー1の優秀なトラクションシステムが付いているんだ!!!(MBやBMWのベース車みたいな『丸腰』ではないんだ!!!) 搭載されているエンジンも他社とは違う走行特性を持った水平対抗だ!!!わざわざ味付けしなくてもファンは世界中にたくさん居る!!!つまりわれわれはAWDのポルシェだ!!!『AMG』や『M』みたいな次元の話ではない!!!『STI』が目指すのは『RUF』だ!!!(わかったかクソメディア!!!)」と・・・。

 熊谷さんのインタビュー動画のリンクです!!!

  つまりスバル車はベースの段階でかなりのオーバースペックなのですが・・・。とはいえSTIの新しい展開では、冒頭に触れたように新しいスバルのアイコンといっていい「アイサイト」との親和性(両立)を考えているようです。CVT車による「STI」の展開は、やはりイメージが壊れかねない転換点だと言えます。それはMBやBMWが「直4ターボ」主体になったとか、「FF車の展開」を始めたとか、それくらいの大きな「事件」性を孕んでいます。

  「時代の流れ」といったらそれまでなのですけども、高級車=ハイスペックという潮流にどのメーカーも逆らえないままに、300ps台→400ps台→500ps台とパソコンのHDのようにスペックが引き上げられていきます。500ps時代に突入したらもはや「MT」にこだわるなんてちょっとナンセンスです。そのうちにダミーの3ペダルなんていう「茶番」が登場しそうな感じです。いや、高度な運転支援システムが構築されていて、超高速で旋回中のクラッチ制御によるトルクの変化を抑えるシステムなども実用化されているので、すでに「茶番」は始まっていますね・・・。

  MT車にこだわるのはもはや戦略的に不可能!!!ということで、「STI」の看板を使っていよいよ2ペダル車をブランディングする「フェーズ」が始まるようですが、来年の今頃にはその企画の成否がハッキリしているのではないかと思われます。レヴォーグSTIで見せるという、スタビリティの更なる向上と、「WRX S4」がイマイチ未達成だった、乗り心地の「高級化」に本気で挑むと宣言しておられますが・・・果たしてどうなるでしょうか。なかなか見所の多いこれからの1年になりそうな予感です。


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posted by のっち at 10:37| Comment(0) | レヴォーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月16日

レヴォーグ・STI ですか?う〜ん。


レヴォーグSTIコンセプトの動画

  東京オートサロン発信となったレヴォーグの「STI」モデルですが、いよいよ7月頃にはラインナップされるようです。今のところは台数限定などということは無いようですが、昨年のS207の驚異的な売れ行きを考えたら、レヴォーグSTIも例えば限定500台で500万円だとしても即日完売してしまいそうです。スバルもその辺に旨味を感じているなら、もしかしたら・・・の可能性はあります。現状の生産工場フル稼働状態ではスバルにとって「薄利多売」をする意味などは経営上全くメリットはないでしょうから、スバルの14%とも言われる驚異的な利益率を確実に上回ってくる価格設定にはなりそうです。

  バカ売れすると困るから適当に儲かる価格を付けておこう!?S207の600万円(付属品みれば納得らしいですが)にもビックリでしたけど・・・。そもそもこのレヴォーグというクルマが、日本人ユーザーのクルマの購入の際にかなり強く意識するという「格」を表現したクルマなので、ある程度の「価格」で箔を付けてくれた方がユーザーにとってもありがたい部分はあるのでしょうけども・・・。かなりの偏見ですがレヴォーグユーザーはプチセレブな感じです。

  スバルHPの特設サイトでは、熊谷さんなど関係する開発メンバーが「レヴォーグSTI」の仕上がりについて熱く語ってます。・・・私の頭が悪過ぎるからでしょうか?彼らが何を言っているのか全くわかりません!!!何がどう良くなるのか?全くわかりません!!!「レヴォーグSTI」はどうやらスポーティではなく、STIチューンを通じて走りの質感のアップを狙ったとのことらしいですけども・・・失礼を承知でいいますが、BMWもポルシェもマツダも決して「質感の向上」なんて安易な表現は使わないと思いますよ!!!

  従来のクルマがある種の理想だったという前提で、「あまりにハンドリングが良過ぎて運転しにくい!!」という意見を受けてBMWはE90系から「直線番長」あるいはGTカー的な味付けに変わりましたし、マツダも「スカイアクティブ」になってハンドリングを意図的に鈍らせたりしているのがわかります。・・・有名ブランドはどこも円熟期に入っているのか、今更に「質感の向上」なんて掲げることは少なく、もっぱら「方針転換」を主旨とした進化を遂げてますが、それに対して「質」にこだわるスバルの気張り方にやや違和感を感じました。

  スバル車は低μ路での旋回ブレーキテストで、BMW、VW、アウディを完全にカス扱いするくらいの図抜けた性能を持ち合わせています。これだけの機動性の高さを持っていてもさらに「上質な走り」を追求しているというポーズを見せることに、一体どんな意図があるのだろうか?・・・スバルが考えるブランド戦略が孕んでいる「矛盾」がちらほらと見える気がするんです。私の勘違いも往々に含まれているとは思いますが・・・。

  さてそろそろ単刀直入に切り込もうと思いますが、「スポーツじゃないSTIって何?」ってことです。もしスバルがレヴォーグの販売テコ入れと単価の向上のために「STI」を使うっていうなら、それはファンが悲しむことになるんじゃないですかね。「STI」をサイドネーム的に付加させることで、Cワゴン、3erツーリング、A4アバントと同等のいわゆる「プレミアム」になることを意図しているならば、もっと視野を広げたほうがいいように思います。果たしてこの3台は現在のトレンドの中で上昇傾向にあるでしょうか?

  開発陣の言葉を真摯に受け止めたいのですが、その裏で「アイサイト縛り」でミッション(CVT)もエンジンもブレーキも全く弄れません!!!というお手上げ状態なのがわかっているので・・・ちょっと冷ややかになってしまいます。「ハード」面は何も変えることができないけれども、「力強さ」のイメージと「安全面」に配慮した設計でさらに「尊敬される」クルマをつくりたい。・・・いやいやもう十分に「尊敬」に値するクルマが作れてますよ。

  ただし身近な日本メーカーの中で「日産」と「マツダ」から発売されている、なかなか強力な「中型車」と比較してしまうと、スバルの「根本」的な弱点が明らかになります。レヴォーグ、S4、レガシィではどうしてもスカイラインやアテンザの乗り味の「魅力」に負けます。ただしこれは「質的向上」でどうなるレベルではないと思います。「根本」を変えない限りはこの評価を覆すことはできないです。それはなにか?もちろん・・・AWDとCVTですね。

  日産とマツダは、駆動方式とミッションに関してはある程度柔軟な姿勢を採ってますが、それに比べてスバルはあまりにもストイックに感じます。相当にコアなファンでもその固執の意味がよくわかってないんじゃないですか? もちろん良い点もたくさんあります。日産やマツダよりも絶対的に「姿勢制御」に優れています。しばしば鉄壁の機械制御とか言われているみたいですが、「滑らせない&トラクション」という意味では世界一だと思いますよ。

  惜しいなと思うのが、例の「縛り」のせいか自慢のボクサーエンジンのバリエーションがなかなか増やせないところでしょうか。XVとインプレッサに搭載されている自社開発のHVをさらに大胆に改良して、ホンダの新型NSXを脅かすくらいの出色のユニットに仕上げて、それを「レヴォーグSTI」に組み込むくらいの迫力ある展開が欲しいんですよ!!!

  スバルの前身の中島飛行機は、太平洋戦争で旧陸・海軍の戦闘機向け高性能エンジンの開発を手掛けました。当時すでにアメリカではフォードが自動車を大量生産していたわけですから、エンジン技術の基本が違いすぎていて、大戦初期に活躍した零戦(中島「栄」エンジン940ps)よりも100km/h以上速い最高速を誇る2000ps級のP51マスタングやF4Uコルセア(P51は英ロールスロイスのライセンスエンジン)に対して劣勢でした。

  大戦末期には中島の開発した2000ps級の「誉」エンジンが投入され、米海軍機の主力だったヘルキャット(F6F)を軽くブッチ切る偵察機「彩雲」や、旧帝兵器マニアが必ずといっていいほど持ち出す「紫電改」「疾風」などの高性能機が作られました。P51や英機スピットファイアの「ロールスロイス・マーリン」や独機メッサーシュミットの「ダイムラーベンツ・DB605」と世界の頂点を争った「中島・誉」・・・スバルにはそのDNAの継承を期待したいわけです。


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posted by のっち at 03:43| Comment(0) | レヴォーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月09日

86シューティングブレークが突如あらわる・・・なんじゃこりゃ!?

  トヨタ86・シューティングブレークとかいうなかなかデカいインパクトのクルマがオーストラリアで公開されました。もちろんベース車はトヨタとスバルの共同開発ですから、スバルも了解したモデルなんだと思いますね・・・って思い出した!!!これあれじゃんか!!!2013年の東京MSでこの原型となるコンセプトカーがスバルから発表された「クロススポーツ」がさらに具体化したものじゃないですか〜・・・。あの時はレヴォーグの影に隠れちゃってましたが。

  トヨタ86・シューティングブレークの動画

  スバル・クロススポーツの動画


  それにしてもデザインがすっかりダメになっちゃいましたね。あの「クロススポーツ」の近未来的なコンセプトはどこへ行ってしまったのか?これはどうも違う感覚ですね〜。スバルの提案とトヨタの提案だからある程度の距離があってもいいとは思うのですけど、この2デザインの併売が実現したら、販売比率は9対1か10対0くらいで大差が付きそうです。

  トヨタがスバルがどうというわけではなく、世界中のブランドが「スタイル」を求めて彷徨っているんですかね。業績は目下のところ絶好調で向かう所に敵無しの状態のトヨタ&スバルにしても、新しい「スタイル」を探しているんですね。遡れば「レオーネ」「アウトバック」あるいは「エスティマ」「ハリアー」といった偉大なるオリジナルがこの両メーカーにはあって、その再来を狙っているのだとは思うんですが・・・。

  レオーネ、アウトバック、エスティマ、ハリアー、他のメーカーのクルマとしてはマツダ・ロードスターなど。どれもフロンティアなクルマとは、それほど「奇天烈」というわけでもなく、どれも開発者の必死さが伝わってくるというか「真面目」なんですよね・・・。この「トヨタ86シューティングブレーク/スバル・クロススポーツ」は、メルセデスのシューティングブレークや、ミニ・クラブマンの「スタイル」を踏襲しているという意見もあるでしょうが、今のところはどちらも日本にはあまり馴染まない存在ですよね〜・・。

  それをトヨタが「本物」にする・・・という野心があるのでしょうけども、トヨタが欧州車をパクるとロクなことがないのも事実。例えばVWゴルフをコピーした、カローラランクス/アレックス、ブレイド、オーリス・・・どれも尖ったグレードが用意されてきたのに、なかなかブレークしません。4mちょっとしかないCセグハッチバックに3.5LのV6エンジン載せた「ブレイド・マスター」なんて21世紀最大級の珍車といっていいくらいでした。ゴルフなんてトヨタから発売されたら誰も買わない・・・という説が図らずも証明されました。

  86/BRZは専用設計スポーツカーとして世界で喝采されましたが、このクルマの一番スゴいところは何かというと、開発者の方(多田さんなど)には失礼ですが、やっぱり「GO」を出したトヨタ経営陣の英断だと思います。どこのメーカーでも経営陣が決断さえすれば、それなりのスポーツカーが出来るんでしょうし、要はそれを売り抜けるかどうか?の判断なんだと思います。

  多くのメーカーが専用設計スポーツカーを、特に400万円以下で販売されるスポーツカーに関しては、どんなメーカーでも二の足を踏みます。日本には86/BRZとロードスター/フィアット124がありますが、どちらも2つのメーカーがリスクを分け合うことで実現しました。でも当然にシェアも半分になるわけですから、効果的とは言い切れない側面もあると思います。そもそもスポーツカーを公道走行用の乗用車として開発することの意義がユーザーに受け入れられにくい時代でもあります。つまり自分1人のことを考えてクルマを買う人はかなり減っているということです。

  専用設計シャシー自体は、運転を楽しくする要素として価値のあるものだと思うので、これを有効に利用してこれまでにないクルマを作るというアイディアは・・・どこまでも真面目な開発者を動員して総力を挙げて具現化する必要があると思います。スポーツカーを作るなら開発・販売で連帯責任を負ってくれるパートナーメーカーを募り、そのブランドと力を合わせてスポーツカーの販売を補完するように、同じシャシーでややファミリー・ユースなクルマを並行して作る・・・ここまでコミコミで初めて実現できるのかもしれません。

  トヨタとスバルの力を合わせたら、どんなクルマになるのか!?2013年にスバルが絶頂の中で作った「クロススポーツ」からどう変化していくのでしょうか?今後に注目したいです。

  
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posted by のっち at 02:25| Comment(0) | BRZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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