2016年07月13日

話題騒然!? BRZ・GT はスポーツカーの頂点に立てるか!?

  FRで1250kgのスポーツカー専用シャシーに水平対抗エンジン、それから専用装備としてブレンボ製ブレーキとビルシュタイン!ではなくて乗り味重視のザックス製ダンパー・・・これぞ「王道」!?といっていいくらいに「セオリー」な武装を施したスポーツカーになったBRZの特別グレード「GT」が追加されました。もっとやんやの大騒ぎになっても良さそうですけども、同じくらいのタイミングで日産からGT-Rのビッグマイナーが発表され、マツダはロードスターの売れ線となっているリトラクタブルハードトップ(RF)で注目を集めていますからね・・・。

  それにしても、もうスポーツカーの発売ラッシュでお腹いっぱいです。1台1台をじっくり検分する余裕もなく、次から次へと新しいモデルが出て来る〜・・・。ついこの前に86が発売(2012年)されたなーってのが一般ピープルの感覚ですよ。何度となく見かけるようになって、日本の街並にもワインディングロードにもかなりマッチするデザインなんで、いよいよ86かBRZの購入を検討しようかなー、あるいは86買うためにお金をせっせと溜めてきたよーっていう人にとっては、ちょっと展開が早過ぎますよね−。

  トヨタとスバル以外の各メーカーも絶対に商機を逃さない!というどことなく焦る気持ちが伝わってくるんですけど、それってなんだかスポーツカーが優雅なものではなくなってしまう気がしてちょっと残念ですね。スポーツカーってそんな「生もの」みたいなものなんですか? 人生の一幕の中でふと新しいことをしてみたい時期に、あるいはちょっとクルマと真剣に向き合ってみたい時期に、迷える人々がさくっと選べるように黙ってラインナップしているのが本来の姿じゃないかと!?確かに経済情勢が不安定過ぎてトヨタも生産設備への投資を控えてマツダやスバルの余剰生産力に目をつけるなど経営面で神経ピリピリなのはよくわかりますが・・・。

  価格がまったく違うので86/BRZとは単純比較はできないですけども、2007年に登場したアストンマーティンV8ヴァンテージはいよいよモデルサイクルが10年目に突入しました。当初は英国の貴族ブランドでボンドカーとしても知られるアストンマーティンが、1000万円台で買える!という話題性が先行しましたが、廉価モデルなのに歴代アストンにも全く引けを取らない!!とりあえず表面的には何一つ不足を感じないほどの完成度に加えて、100年に渡るブランドの歴史でも最良といってもいいデザイン!!!ですから10年たったいまでも熱いオファーが止まないようで、アストンマーティンとしては異例のロングセラーモデルになっているようです。

  さて新しく追加された重武装の「BRZ-GT」ですが、このクルマはスポーツカーの大成功モデルとして10年あまりのサイクルを維持することができるでしょうか? V8ヴァンテージとはさすがに意味合いが大きく違いますし、メーカーが希望する販売台数も桁違いですけども、ユーザーにとって何年経った後でも、常にスポーツカーの選択肢として残るモデルになっているか?ってことにおいては・・・V8ヴァンテージの領域に迫れる日本が誇るスポーツカーかも?という気がしないでもないです。

  世界中の個性的なスポーツカーが日本市場で販売されていますが、V8ヴェンテージ的なポジションに辿り着けているモデルはどれだけあるでしょうか? 例えば一斉にターボ化された「ポルシェ」の3モデルは、これまでのようなクルマ好きの羨望の対象になっているのか?甚だ疑問です。「シボレー・コルベット」は・・・残念なことにケバいデザインとオイルがぶ飲みエンジンが嫌われて、発売当初から日本では躓きました。6.2L自然吸気とは豪気なアメリカンスタイルですが、ドラッグレースやるわけじゃないんだし。「アウディR8」はスーパーカーに片足突っ込んだような価格で、中身はもちろん廉価版ランボルギーニ(ガヤルド、ウラカン)なわけで、・・・いまどき有りがちな無国籍なスーパーカー風情です。デザインも性能も十分に惹きがありますけども、なかなか手が出ない・・・。1000万円台ならば出色ですけども。

  それから超軽量&ハードトップで強烈に尖った設計で話題になった「アルファロメオ4C」ですが、なんだかんだで乾燥重量が1100kgですから、ちょっと軽めといった程度です。これだけ特殊な設計なのに800万円の価格はもちろん素晴らしいです。しっかしカーボン製ボデーは破損すると修理費がとんでもなく跳ね上がるとか・・・(こわーい)。だからといって「ダイハツ・コペン」のような樹脂製外板ならOKなのか?うーんちょっと質感が・・・やっぱりスポーツカーは美しくないとダメ。

  V8ヴァンテージ(とポルシェ)に真っ向から挑む気合いの入ったジャガーのスポーツカー「Fタイプ」もいいですね。これから長いモデルサイクルを刻んでくれるんじゃないかと期待しています。V6スーパーチャージャーモデルならば、V8ヴァンテージの半額程度のイニシャルコストなのも魅力です。欧州の小規模スーポーツカーブランドから絶大な人気を得ているフォードエンジンをベースにしたユニットもレスポンス重視で納得の出来です。程度の差こそあれ決してフェラーリのマラネロファクトリー産だったり、AMGファクトリーにも引けを取らない「実力派」のエンジンが積まれています。

  スバルの水平対抗ユニットも200~300psを狙う限りでは申し分のない個性派です。同じく水平対抗のポルシェもボクスターとケイマンを4気筒化を決断したので、ほぼガチンコといってもいいです。あとはスバルがBRZをどこまでスポーツカーとして「普遍的」な存在に仕上げてくれるのか?・・・というよりいつまで我慢強く生産ラインを86/BRZに使い続けてくれるのか? そして絶えず注目を集める存在であり続けるのか?

  スバルには日本の自動車産業を背負って世界と戦う!という気概が強くあるでしょうし、なんだか久々にスバルが世界に向けてその存在を高らかに宣言するようなクルマが、「BRZ-GT」なんだと思います。日産が新しくシンプルで身軽になったフェアレディZを発売し、ホンダが再びハイテンションでS2000の後継モデルを出してきたとしても、その存在が決して霞まないような日本を代表するスポーツカーへと成長して欲しいものです。

BRZ・GT試乗動画


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posted by のっち at 03:38| Comment(0) | BRZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月06日

レヴォーグSTI 登場で再び火種が・・・スバルはいつも市場をかき回す。

  北米フラッグシップの「レガシィ」ではなく、欧州戦略モデルへと矛先が変わった「レヴォーグ」に手を加えることで「世界の頂」を目指すみたいですね〜・・・。いよいよ発売された「レヴォーグSTI」の開発意図は、スバルとSTIが力を合わせれば、中型車における世界最高水準のクルマが十分に作れるポテンシャルを示すことにあるようです。

  あまりにもあっさりと北米を攻略してしまったスバル。気がつけば北米依存度が60%にまで達します。その中でも容赦なく進む次期大統領選挙。どんな巨大コンツェルンからもきっちりと「みかじめ料」を取るのが連邦政府ですから、高々売り上げ200億USドル足らずの日本のメーカーといえども、いつ君子豹変で締めあげられても不思議ではないです。中国政府もアメリカ政府も本質的にはやる事は同じ・・・この2つに相次いで凹られたVWはまったくご愁傷様でしたが、巨大市場に巣食う「ダニ」は、予想以上に危険な立ち位置にいることがここ数年ですっかり広まりました。

  しばしば「アメリカリスク(依存度)」が高過ぎるのでは?と言われていたスバル(群馬)とホンダ(埼玉)の北関東勢ですが、リスクヘッジの為に「国内回帰」を模索するような「日本向け」のツアラーやサルーンが相次いで登場しました。これはなかなかの好勝負では!?と予感するのが、「レヴォーグSTI」と「アコードHV(後期モデル)」です。どちらも400万円前後ですから、いきなり日本市場で大ヒットするとは考えにくいですけども、ドイツ勢からかなりのユーザーを奪ったとされるスカイラインやアテンザXDも同じくらいの価格帯だったことを考えると、予想外の市場のリアクションも期待できそうな気が。

  「BMWから客が奪えるクルマ」・・・いわゆるカーメディアやクルマ好きが日本メーカーに望んで止まないツアラー/サルーンタイプのクルマです。ここ数年のスバルやホンダはこの手のクルマと、「ツアラー」というジャンルへの執着がやや薄かったです。もちろんいろいろな事情があったわけで経営状況が許さなかったのだから仕方がないことです。BMWに乗り味で勝てるクルマを作ることの優先度は低かったようで、それを示すかのように、数年前に発売した両者がこだわりを主張する「WRX S4」と「アコードHV(前期モデル)」は大誤算といえるくらいの惨憺たる結果でした。

  2007年頃からの世界的な不況で、次々と経営が行き詰まっていった大衆ブランドでは、「撤退」もしくは大規模な収支の見直しによる「再建」が進みました。スバルやホンダが目指したのは、世界最大の北米市場へコミットして活路を見いだすことで、それをやり切るだけの目算もあったようです。その一方で欧州ブランド(VW、フィアット、プジョー、ルノーなど)の多くはアメリカ市場の競争の厳しさから次々と撤退を表明し、比較的に市場をコントロールしやすい欧州市場に加えて中国、東欧、ロシアといった新興市場を目指しました。

  日本市場では「北米を目指したクルマ」と「欧州で争うクルマ」がどちらも導入されて、入り組んだ状態で販売されています。カーメディアでは大衆ブランドのどんなクルマでもイチャモン付けられる運命にあるわけですが、北米向けなら「デカ過ぎ」、欧州向けなら「カタ過ぎ」とか言っておけばいい!みたいなやっつけ仕事が横行している感じで、レビューの質がどんどん低下しています(もともと質とか語るレベルですらないですけども)。

  スバルはまだしも、ホンダはなかなかひどい扱いだったりします。「北米向け=日本では悪」といった先入観があって、まあ現実問題として物理的に車体もエンジンも大きすぎるという難点が無いこともないですけど、カーメディアに指摘されなくても誰でもわかるレベルのことです。もちろんそういう車両でも快適に使えるインフラが整ってきている地域もたくさんあるわけで、すべてが世田谷区とか杉並区のクソ狭い路地を基準で語られてしまっては・・・。

  それでもスバルやホンダのアメリカ向けモデルは、一般的に「大味な乗り味」というのは一理あると思います。ペダルもハンドルもアメリカ人の好みなのか?だいぶ緩めです。ただしスバル、ホンダ、トヨタ、日産と北米にそれなりのシェアを持っている日本の4メーカーがアメリカ人の趣味を誤解している?という説もあります(アメリカ人はスポーティなモデルも好き!)。実際に日本のメーカーはつい最近まで、北米だけはサイズ違いで設計するというスタンスを採っていました。オデッセイ、アコード、アテンザなど先代までは全て北米向けはワンサイズ大きいものが用意されていました。FFでV6を積んでますから、まあハンドリングは推して知るべしです。

  「北米サイズ」で設計されたクルマを、「待ったなし」でいきなり日本に持ち込んだのがスバルで、先代のレガシィB4やアウトバックはかなりのヒンシュクを買いました。スバルが開けてしまったパンドラの箱。それからまもなくホンダもアコードが北米サイズとなりました。そしてマツダも1周り遅れでアテンザのサイズが統一されました。日産だけは今も律儀に日本向けティアナと北米向けアルティマを分けてますけども、トヨタもカムリはそのままのサイズで展開しています。この一連の「北米サルーン化」によって日本のセダンがやたらと退屈になったのは間違いないです。

  自動ブレーキが一気に普及するきっかけとなったアイサイトもそうでしたけど、スバルの決断は市場に大きな変化を与えることが多いようです。そしてそんなお騒がせなスバルが今度は、「打倒BMW」を声高に掲げています。その大本命はスバル期待の新型シャシーなんでしょうけども、それよりも一足早く現行レヴォーグをベースとして、上質な乗り味を追求したツアラーをカタログモデルとして出してきました。

  発売以来大ヒットで快走したものの、新型プリウスの登場で、さすがに「一息」な感じのあるレヴォーグの国内販売ですが、それをテコ入れするにしても小規模な仕様変更だけでは全く反応しない恐れも・・・。そこで大風呂敷を広げての「欧州プレミアム打倒宣言」としてのレヴォーグSTIの追加のようです。インプレッサ派生のワゴンですから、欧州車でいえばメガーヌエステートや308SW、ゴルフヴォアリアントが、「BMW3erツーリングを越える!」と意気込むみたいなものです。

  WRX S4もレヴォーグも足が固めなのが災いして、クルマの揺すられ感が結構エグかったです。AWD&LSDがいけないのか?水平対抗エンジンがいけないのか?それともCVTがいけないのか? パフォーマンスの高さはわかるけども、まだまだ改良の余地が目一杯ある!これが2014年段階での印象です。とても「高級」とは言えない乗り味でした。430万円(S4)の見積もりはまだまだ値引きの余地がありそうでしたが、ルノー・メガーヌエステートGT(350万円)と同等まで下げてくれないと選ぶ理由がないな〜・・・。

  あれから2年経って年次改良も今回で2回目になりますから、おおよその欠点にはフォローがされているのでしょう。あのレヴォーグやS4の走りを洗練させていけば、アウディA4やBMW3erくらいにはなるかな? しかしBMWも小刻みな仕様変更をしていて、もう5年目になるF30系3erもまた進化していますから、果たしてレヴォーグSTIは狙い通りの「下剋上」を果たすのでしょうか!?それともホンダ・アコードHV(改良)が一気に大外からまくってくるのか!カーメディアに頼らずに試乗して白黒ハッキリさせてみたいなと思います。


「レヴォーグSTI試乗インプレ」

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ラベル:レヴォーグSTI
posted by のっち at 00:49| Comment(0) | レヴォーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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