2016年03月20日

スバル と BMW

 スバル・インプレッサの次期モデルのコンセプトカーが、東京・デトロイト・ジュネーブのそれぞれのオートサロンで披露されました。G4(セダン)・スポーツ(ハッチバック)・XV(クロスオーバー)の3つのボデータイプが主戦場となる場所でそれぞれワールドプレミアされていて、なんとも明快で意図的な新型モデルの公開だったと思います。そして北米モデルがいち早くニューヨークMSで発表されました。なんじゃこりゃ、G4のエクステリアは何も変わってないような気がしますけど。米国向けのレガシィで生産能力は手一杯だそうですから、インプレッサの拡販に撃って出るという気概はそれほどないようですね。どう考えても勝負を賭けるデザインではないです。

  アメリカでは「スモールカー」として男が乗るクルマじゃない!と蔑まれていたCセグでしたが、カローラやシビックのセダンがボディを拡大しつつも1モデルで月間2万台を売るほどになってきました。しかしまだまだ男性はピックアップか大型SUV、女性はスモールカーという線引きはあるようですが・・・。スバルとしては「アウトバック」のユーザーが「XV」や「G4」に流れることはアメリカでは少ないと見ているのかもしれません。火事場泥棒みたいですが、販売が落ち込んでいるVWジェッタからこぼれたシェアは狙ってるでしょうけども。

  英国でも販売されるようになったレヴォーグですが、こちらはコアなGTユーザー層に好評なようですね。「世界が日本に嫉妬する」という自信過剰気味!?な自社製のコピーも面目躍如といったところでしょうか。スバルは欧州ではべらぼうな高価格でAWD車を販売していて、1.6L自然吸気のインプレッサ(AWD)が2万5000ユーロ(300万円)しますが、それでも買う人は一定割合いる!多く見かけるのは、スイスに近くて降雪も多いドイツ南部だそうです。生活必需品としてスバルのAWDが選ばれているからこその、「特権価格」なんでしょうね。救急車が1台3000万円するのと同じ理屈?日本市場ではもっともリーズナブルなCセグなのに、欧州ではボッタクリ価格・・・。メルセデスやBMWの日本価格の方が良心的かも。

  さて新型インプレッサですが、新しいプラットフォームに加えて、今回からトヨタ製のハイブリッドユニットを使うことも発表(リーク?)されたようです。すでにインプレッサ派生のレヴォーグでもVWのMQBやマツダのスカイアクティブと渡り合うに十分な実力を持ちつつも、さらなるレベルアップを目指した「スバルグローバルプラットフォーム」に信頼性で他を凌駕する「トヨタ製ハイブリッド」搭載は、まさに「鬼に金棒」です。インプレッサが「日本のゴルフ」として今度こそは新しい「国民車」になれるのでしょうか? ただしTNGAで走りの質が高まったプリウスも評価を一気に高めましたし、近年不調だったカローラも息を吹き返しました。

  メーカー内に2つ以上あったプラットフォームを可能な限り1つに集約し、そこに限りある資本の大部分を投下することで、世界最高水準のクルマ作りを維持する・・・これがスモール(C)〜ミドル(D)を主戦場とするメーカー、スバルやマツダの生き残る唯一の道だとされています。そんな中でBセグ以下をバッサリ切り捨てたスバルにとって、新型プラットフォームが目指す性能(ベンチマーク)は、すでに開発から10年が経つBMWのFRの下位プラットフォーム(L7)だと思われます。

  BMWのL7プラットフォームは1〜4シリーズ、X1、3、4のFR車で共通に使われるシャシーです。いまだにカーメディアではハッキリとした評価が出してはいません。CDセグの水準を考えたらかなり優良なシャシーだという評価がある一方で、DEセグ単位でプラットフォームを構築するレクサスや日産と比べて基本性能が見劣りするという意見もあります。アウディ、メルセデス、ジャガーさらにアルファロメオもDEセグ単位のプラットフォームになっている中で・・・BMWだけが取り残されている格好です。ただし新たなプレミアム戦略を標榜するホンダ、マツダ、スバルが新たにCDセグ単位でのプラットフォームを投入しています。

  DEセグ単位のシャシーを使うクルマはフロントサスペンションの形状を見ればすぐに判別できます。レクサスIS、スカイライン、アウディA4、Cクラス、ジャガーXE、ジュリアはいずれもダブルウィッシュボーン(DWB)です。BMWもEFセグを担当するL6プラットフォームではDWBです。しっとりとした乗り味の高級サルーンを作るならやはりDWBを使うべきだな〜・・・と勝手に思っているんですが、サスペンション形式ではあまり変わりがないという説が、ポルシェ、BMW、スバルの信者などから流布されていて、主張するとしばしば否定されます。個人的な経験では高級サルーンとして納得の乗り味を出していたクルマはことごとくDWBを使ってましたね。スバルやBMWに乗った時に気になるのが前輪からのショックでフロントが不必要に揺すられるところだったりするのですが、これも「スポーティなアシ」だからと肯定的な理由で抹殺されます。

  たしかにBMWは「走りの注文」ができるという、プレミアムブランドでは定番となった販売手法を広めた第一人者です。各モデルには「Mスポ」という50万円ほど高いグレードが用意されます。どうせちょっとした差なんでしょ?と思って乗ってみると、笑っちゃうくらいに大きく違う乗り味です・・・。Mスポと非Mスポでは全く別のクルマと言っていいくらい! Mスポは良くも悪くもラディカルですね、トヨタ車ばかりに親しんできた人には「これ壊れてる?」って思うくらいに入力にビックリします。助手席に乗っていて悪路に入ったら腰を浮かせたくなるくらいにコツコツきます。

  「BMWがストラットなんだから!」という理由かどうかわかりませんが、マツダのスカイアクティブシャシーはストラットが採用されました。スバルは先代からストラットです。マツダはかなり露骨に足回りを柔らかくセッティングするようになりました。当然に先代までのマツダと比べて旋回時の反応遅れも感じますけども、全体的には高い操舵性を維持したハンドリングになっていると思います。以前はFF車にもかかわらずBMWと比べても遜色ないズバっというキレの操舵でしたが、スカイアクティブとなった現在ではBMWのFRを生かした爽やかなハンドリングに対して、ちょっとズブさが気になることもあります。電動ステアリングがずっしりしたせいもあるかもしれません。FFがストラットにしたらFRには勝てないのかな?という気が・・・。

  スバルの場合はAWDが基本なので、ハンドリングのキレ勝負では最初から不利です。ちょっと悪口みたいになっちゃいますけど、手軽に高性能車を操る歓びみたいなコンセプトの「WRX S4」は乗り味で比較されるとかなりキツいと思います。発売当初からダンパーを2種類用意してグレード分けをするなど、ドライビングカーとして鍛え抜かれた設計を予感させてくれますが、現実は多くの人を「これぜったいに買う!」という気持ちさせられるクルマにはなってないです。

  新しいプラットフォームになってインプレッサで不具合を調整しながら、レガシィやフォレスターへと派生させていくことになるのでしょうけども、このプラットフォームからどんな「競争力のある」クルマが出てくるのでしょうか? @乗用車の域を越えたAWDの爆発的な走行性能を誇るスポーティカー Aあらゆるシチュエーションで使えて、運転が楽しく、経済的負担も少ない手軽なプライベートカー  の2つは順当でいいですけども、「WRX S4」が標榜する「スポーティプレミアムセダン」のコンセプトが具現化することはあるんでしょうか? マツダのアテンザも同じ事が言えそうです。マツダとスバルはFFベースでBMWの下位プラットフォームと同等の設計から、競争力のある「プレミアムセダン」が出来ると本気で思っているのでしょうか?


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posted by のっち at 23:21| Comment(0) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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