レヴォーグSTIコンセプトの動画
東京オートサロン発信となったレヴォーグの「STI」モデルですが、いよいよ7月頃にはラインナップされるようです。今のところは台数限定などということは無いようですが、昨年のS207の驚異的な売れ行きを考えたら、レヴォーグSTIも例えば限定500台で500万円だとしても即日完売してしまいそうです。スバルもその辺に旨味を感じているなら、もしかしたら・・・の可能性はあります。現状の生産工場フル稼働状態ではスバルにとって「薄利多売」をする意味などは経営上全くメリットはないでしょうから、スバルの14%とも言われる驚異的な利益率を確実に上回ってくる価格設定にはなりそうです。
バカ売れすると困るから適当に儲かる価格を付けておこう!?S207の600万円(付属品みれば納得らしいですが)にもビックリでしたけど・・・。そもそもこのレヴォーグというクルマが、日本人ユーザーのクルマの購入の際にかなり強く意識するという「格」を表現したクルマなので、ある程度の「価格」で箔を付けてくれた方がユーザーにとってもありがたい部分はあるのでしょうけども・・・。かなりの偏見ですがレヴォーグユーザーはプチセレブな感じです。
スバルHPの特設サイトでは、熊谷さんなど関係する開発メンバーが「レヴォーグSTI」の仕上がりについて熱く語ってます。・・・私の頭が悪過ぎるからでしょうか?彼らが何を言っているのか全くわかりません!!!何がどう良くなるのか?全くわかりません!!!「レヴォーグSTI」はどうやらスポーティではなく、STIチューンを通じて走りの質感のアップを狙ったとのことらしいですけども・・・失礼を承知でいいますが、BMWもポルシェもマツダも決して「質感の向上」なんて安易な表現は使わないと思いますよ!!!
従来のクルマがある種の理想だったという前提で、「あまりにハンドリングが良過ぎて運転しにくい!!」という意見を受けてBMWはE90系から「直線番長」あるいはGTカー的な味付けに変わりましたし、マツダも「スカイアクティブ」になってハンドリングを意図的に鈍らせたりしているのがわかります。・・・有名ブランドはどこも円熟期に入っているのか、今更に「質感の向上」なんて掲げることは少なく、もっぱら「方針転換」を主旨とした進化を遂げてますが、それに対して「質」にこだわるスバルの気張り方にやや違和感を感じました。
スバル車は低μ路での旋回ブレーキテストで、BMW、VW、アウディを完全にカス扱いするくらいの図抜けた性能を持ち合わせています。これだけの機動性の高さを持っていてもさらに「上質な走り」を追求しているというポーズを見せることに、一体どんな意図があるのだろうか?・・・スバルが考えるブランド戦略が孕んでいる「矛盾」がちらほらと見える気がするんです。私の勘違いも往々に含まれているとは思いますが・・・。
さてそろそろ単刀直入に切り込もうと思いますが、「スポーツじゃないSTIって何?」ってことです。もしスバルがレヴォーグの販売テコ入れと単価の向上のために「STI」を使うっていうなら、それはファンが悲しむことになるんじゃないですかね。「STI」をサイドネーム的に付加させることで、Cワゴン、3erツーリング、A4アバントと同等のいわゆる「プレミアム」になることを意図しているならば、もっと視野を広げたほうがいいように思います。果たしてこの3台は現在のトレンドの中で上昇傾向にあるでしょうか?
開発陣の言葉を真摯に受け止めたいのですが、その裏で「アイサイト縛り」でミッション(CVT)もエンジンもブレーキも全く弄れません!!!というお手上げ状態なのがわかっているので・・・ちょっと冷ややかになってしまいます。「ハード」面は何も変えることができないけれども、「力強さ」のイメージと「安全面」に配慮した設計でさらに「尊敬される」クルマをつくりたい。・・・いやいやもう十分に「尊敬」に値するクルマが作れてますよ。
ただし身近な日本メーカーの中で「日産」と「マツダ」から発売されている、なかなか強力な「中型車」と比較してしまうと、スバルの「根本」的な弱点が明らかになります。レヴォーグ、S4、レガシィではどうしてもスカイラインやアテンザの乗り味の「魅力」に負けます。ただしこれは「質的向上」でどうなるレベルではないと思います。「根本」を変えない限りはこの評価を覆すことはできないです。それはなにか?もちろん・・・AWDとCVTですね。
日産とマツダは、駆動方式とミッションに関してはある程度柔軟な姿勢を採ってますが、それに比べてスバルはあまりにもストイックに感じます。相当にコアなファンでもその固執の意味がよくわかってないんじゃないですか? もちろん良い点もたくさんあります。日産やマツダよりも絶対的に「姿勢制御」に優れています。しばしば鉄壁の機械制御とか言われているみたいですが、「滑らせない&トラクション」という意味では世界一だと思いますよ。
惜しいなと思うのが、例の「縛り」のせいか自慢のボクサーエンジンのバリエーションがなかなか増やせないところでしょうか。XVとインプレッサに搭載されている自社開発のHVをさらに大胆に改良して、ホンダの新型NSXを脅かすくらいの出色のユニットに仕上げて、それを「レヴォーグSTI」に組み込むくらいの迫力ある展開が欲しいんですよ!!!
スバルの前身の中島飛行機は、太平洋戦争で旧陸・海軍の戦闘機向け高性能エンジンの開発を手掛けました。当時すでにアメリカではフォードが自動車を大量生産していたわけですから、エンジン技術の基本が違いすぎていて、大戦初期に活躍した零戦(中島「栄」エンジン940ps)よりも100km/h以上速い最高速を誇る2000ps級のP51マスタングやF4Uコルセア(P51は英ロールスロイスのライセンスエンジン)に対して劣勢でした。
大戦末期には中島の開発した2000ps級の「誉」エンジンが投入され、米海軍機の主力だったヘルキャット(F6F)を軽くブッチ切る偵察機「彩雲」や、旧帝兵器マニアが必ずといっていいほど持ち出す「紫電改」「疾風」などの高性能機が作られました。P51や英機スピットファイアの「ロールスロイス・マーリン」や独機メッサーシュミットの「ダイムラーベンツ・DB605」と世界の頂点を争った「中島・誉」・・・スバルにはそのDNAの継承を期待したいわけです。
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