ちょっと当たり前の話をしますが、「STI」とは大手メーカーならどこでも1つや2つは抱えている「系列チューナー」です。トヨタだと「TRD」、日産だと「NISMO」、マツダだと「MS」、ホンダだと「無限ホンダ」、三菱だと「ラリーアート」などなど。その中ではスバルの「STI」が最も存在感の際立った活動を続けてきました。その甲斐あってファンも最も多く「STI」チューンのコンプリートカーは、商談期間が始まると瞬く間に売り切れてしまなど、欲しくてお金があってもなかなか購入できない事態が続いています。
「STI」はブランド力を高めたいというスバルのインセンティブと、ユーザーの価値あるクルマを所有したいという物欲を見事に両立させる画期的な存在です。トヨタもその辺の旨味がよくわかっているようで、「G’s」というコンプリートチューナーを熱心にプロモーションしています(カネかかってます!!!)。STIとはそもそもの成り立ちが「完全に別路線」ながらも、トヨタ車をよりコアなユーザー層(クルマ好き)へと届けるミッションを粛々と遂行しているようです。これによって発売から10年経過の現行マークXの販売が上向いたり、アクアやヴォクシーの販売テコ入れにも役立っているのだとか。
「要は『AMG』とか『M』とかいったポジションを低予算で目指しているんでしょ!」などと、輸入車大好きな連中からは、その狙いが見透かされているようですが、それを言ったら、メルセデスもBMWもボルボ(ポールスター!)も『チューンド・バイ・〇〇』といった小手先の専用パーツによるマメ・チューンをたくさん企画していたりしますけどね・・・。確かに専用ファクトリーでの手組みエンジン搭載車にだけ与えられる『AMG』の称号は別格!の響きがありますし、高剛性ボデーのBMW車に専用エンジンとデフチューンを施して、そのポテンシャルを高めた理想のコンプリートカーと作る『M』も重みがあります。
それに対して『STI』はどうか?・・・レヴォーグSTIのプロモーション動画で熊谷さんがメディアの質問(『AMG』や『M』の領域を目指すのか?)に少々戸惑いながらも返答していましたが・・・、あそこではぜひガツンと言ってほしかったですね。「スバルはベース車がすでにAWDだ!!!最初から世界ナンバー1の優秀なトラクションシステムが付いているんだ!!!(MBやBMWのベース車みたいな『丸腰』ではないんだ!!!) 搭載されているエンジンも他社とは違う走行特性を持った水平対抗だ!!!わざわざ味付けしなくてもファンは世界中にたくさん居る!!!つまりわれわれはAWDのポルシェだ!!!『AMG』や『M』みたいな次元の話ではない!!!『STI』が目指すのは『RUF』だ!!!(わかったかクソメディア!!!)」と・・・。
熊谷さんのインタビュー動画のリンクです!!!
つまりスバル車はベースの段階でかなりのオーバースペックなのですが・・・。とはいえSTIの新しい展開では、冒頭に触れたように新しいスバルのアイコンといっていい「アイサイト」との親和性(両立)を考えているようです。CVT車による「STI」の展開は、やはりイメージが壊れかねない転換点だと言えます。それはMBやBMWが「直4ターボ」主体になったとか、「FF車の展開」を始めたとか、それくらいの大きな「事件」性を孕んでいます。
「時代の流れ」といったらそれまでなのですけども、高級車=ハイスペックという潮流にどのメーカーも逆らえないままに、300ps台→400ps台→500ps台とパソコンのHDのようにスペックが引き上げられていきます。500ps時代に突入したらもはや「MT」にこだわるなんてちょっとナンセンスです。そのうちにダミーの3ペダルなんていう「茶番」が登場しそうな感じです。いや、高度な運転支援システムが構築されていて、超高速で旋回中のクラッチ制御によるトルクの変化を抑えるシステムなども実用化されているので、すでに「茶番」は始まっていますね・・・。
MT車にこだわるのはもはや戦略的に不可能!!!ということで、「STI」の看板を使っていよいよ2ペダル車をブランディングする「フェーズ」が始まるようですが、来年の今頃にはその企画の成否がハッキリしているのではないかと思われます。レヴォーグSTIで見せるという、スタビリティの更なる向上と、「WRX S4」がイマイチ未達成だった、乗り心地の「高級化」に本気で挑むと宣言しておられますが・・・果たしてどうなるでしょうか。なかなか見所の多いこれからの1年になりそうな予感です。
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